「歯周病菌でジンジバリスという細菌がいますが、これが血と肉が好きで痛みを麻痺させる毒を持ち、知らないうちに歯周病を進行させ、歯茎を破壊して血管に進入⇒毒素をまきちらす」

怖いですね～。いかにも悪そうな名前ですね～って。

思わずうなずいたり、笑ったりして楽しく拝見させていただきました。

ひと昔前と比べて、ずいぶんと歯科の歯周病と全身の病気との関連があることが分かってきました。毎日の歯磨きによるホームケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアで、お口の中から善玉菌を育成して悪玉菌を体の外へ～

～ 福は内鬼は外 ～

では今月の資料です。歯周病と全身疾患についてです。

認知症の70％を占めるアルツハイマー型認知症は、アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積することで発症します。

近年マウスを用いた研究により、アミロイドβは歯周病菌によって産生・蓄積されることが明らかになりました。

また、歯が抜けて噛めなくなることも認知症のリスクを高める原因となります。

血管に流れ込んだ歯周病菌によって産生された炎症性サイトカインが血栓を作り、動脈硬化を誘発・悪化させる可能性があります。

動脈硬化が進行すると、脳卒中や狭心症、心筋梗塞などの命に係わる病気に結びつく恐れがあります。

歯周病になると、子宮を収縮させる作用がある炎症性サイトカインやプロスタグランジンが過剰分泌されます。

特にプロスタグランジンは陣痛促進剤として使用されるほど子宮収縮作用が強いため、歯周病の重症化により早産・低体重児出産のリスクが高くなります。

骨粗しょう症は全身の骨密度が低下する病気ですので、顎の骨に炎症が起こる歯周病にも影響が及びます。

骨粗しょう症によって顎の骨がもろくなれば、歯周病の症状も悪化します。

歯周病患者は肥満やメタボリックシンドロームになりやすく悪化しやすいことが明らかになっています。

メタボリックシンドロームと歯周病は肩を並べるように同時進行し、様々な生活習慣病を引き起こします。

“万病の元”と言われる肥満を解消することは、メタボリックシンドロームや歯周病の予防につながります。

肺炎は日本における死因の第３位であり、その多くが歯周病を発端とする誤嚥性肺炎です。

お口の中の細菌が誤嚥によって肺に入り込んでしまうことで引き起こされます。

心臓まで達した歯周病菌は血管壁に炎症を起こし、狭心症や心筋梗塞の引き金となります。

実際に動脈硬化の部分からは多くの歯周病菌が発見されています。

また、細菌が心臓弁に付着すると、感染性心内膜炎の発症リスクも高まります。

歯周病は糖尿病の６番目の合併症と言われるように、糖尿病になると歯周病が発症・進行しやすくなります。反対に歯周病が進行すると血糖値を下げるインスリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させる悪循環が生じます。

歯周病の治療をすることで血糖値が改善しやすいことが報告されています。